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ねこいろは 第3回「成猫を迎えること」

私が神奈川県のセンターから保護を始めた2008年の頃のお話を少しさせていただきます。

生まれたばかりの子猫の保護のため、はじめてセンターに訪れた時、猫のボランティアは個人の方が1名のみ、そして時々犬のボランティアが引き出してくれる状態でした。

そんため行政から今後の引き出しをお願いされて、登録をした経緯があります。はじめに引き出したのは9匹の目の開かない乳飲み子。そして、登録時には21匹。センターから助けるために1頭あたり1,200円の引き出し手数料を支払っていました。
不思議なことに『成猫』に会うことはほとんどありませんでした。

ある日の夕方、センターに引き出しに行くと成猫と遭遇。飼い主の飼育放棄。
エイズであることで貰い手がなく衣装ケースに4、5頭ぎゅうぎゅう詰め・・・。
その日は引き出すことができず、翌日センター電話するとこう言われました。
「エイズキャリアであったこともあり、ボランティアさんに負担をかけることになるので・・・処分しました。」

他の日にも、乳飲みの子猫を引き出そうとすると、
「さっきまでお母さんのおっぱいを飲んでたんです。」
「え?お母さんは?」
「処分しました。慣れていたんですが成猫だったんで、子猫を今日引き出してもらえるので処分になりました。」
職員さんが涙をためて状況を話してくれたことは鮮明に覚えています。

もらわれやすい子猫だけでも、命をつないで欲しい行政。
『成猫』を抱えるリスクを心配してくれている、それも間違ってはいません。行政によっては、ボランティアにもらわれやすい猫しか見せないところもあります。それは、見てしまうと助けられないから切なくなるだろうという行政の配慮。
その後、県のセンターと何度も話し合いを重ね、成猫も収容されたら会わせてもらう約束をして、自分の保護状況を見ながら成猫にも手を差し伸べ始めました。

凶暴な母猫付きの子猫の場合も、親子で引き出し子育てをしてもらいながら、時間をかけて慣らして譲渡を重ね、センターでの成猫の譲渡を勧めていきました。
慣れない猫にも職員さんたちも手をかけてくれるようになり、数年前からは、収容された猫にも名前をつけてもらい、成猫の譲渡が促進されるようになりました。

まだまだ成猫の譲渡は子猫に比べ少ないですが、成猫ならではよさがあります。

飼い主だけに慣れている猫は、当初知らない人に対して攻撃的であったりします。
しかし、人に慣れていた猫はほとんどの猫が心を開いてくれますので、ゆっくり待ってあげることが大切です。

また、子猫から育てると慣れると思われがちですが、可愛くて猫をかまいすぎて抱っこ嫌いの猫になってしまうこともあります。
譲渡会に「慣れる子猫をください」と言ってくる方も少なくありませんが、子猫だからなつくわけではありません。

子猫を希望して譲渡会に来られて方の中には、目の前にいる慣れ慣れベタベタの成猫に触れて、興味を持ってくださる方もいらっしゃいます。
「どうしてこんなに甘えるんですか?」
「すでに甘ったれの性格が出来上がってしまっているので。保護していて、甘ったれの猫さんは基本甘ったれです。ただ、慣れていない猫であったり、ツンデレの猫でも新しいおうちで特別な人ができることでさらに心を開き、私たちボランティアが想像できない可愛らしい姿の写真をいただくこともあります。」と成猫について説明させていただくことで、たくさんのご縁に繋がっています。

高齢者の方やお仕事で家を留守にすることが多いお家の方にも、子猫のようなやんちゃ盛りが過ぎ性格が落ち着いていたり、お留守番ができることから、成猫の譲渡は向いています。

子猫は1歳で人間すると20歳。

子猫の成長スピードは、人間の時間の20倍で進んでいますので、ちょっとしたことでも、すぐに病院に行ける方でないとお勧めできません。成猫であっても、人間の4倍のスピードで成長していますので、体調不良の際には受診をしてあげてください。

成猫を迎える場合、避妊去勢手術を済ませている場合が多いので、手術の時期などを気にしたり、トイレのしつけができているので煩わしさがありません。子猫は、悪戯盛りです。一方、成猫はおもちゃでも遊びますが、割とおちついて過ごせるという良さもあります。

可愛らしい子猫の時代を見られないという声もありますが、可愛い子猫時代は20年前後の寿命の現在、本当にほんの一瞬です。

猫を迎えるにあたり、子猫だけではなく『成猫』にも目を向けていただけると嬉しいです。

ABOUT ME
石丸雅代 / 猫保護シェルター『たんぽぽの里』代表
石丸雅代 / 猫保護シェルター『たんぽぽの里』代表
子猫を1匹拾った事をきっかけに野良猫や犬の厳しい生活を知り、 小さな命のバトンをつなげるために『たんぽぽの里』を設立しました。
『たんぽぽの里』では、猫を保護してから里親さんに引き渡すことをメインにボランティア活動しています。

たんぽぽの里
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